新連載【今できていることがなぜ当たり前にできなくなったのか】第1回:フレイルとは

今日は「フレイル」という、歯科業界では最も注目されているトピックの一つについて概要をお話しします。

こんにちは。28CliniC 野上歯科医院 副院長の多田です。

「フレイル」皆さんには聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は日々の生活と密接に関わっています。

以前と比べて歩く速度が遅くなってきた。
疲れやすくなってきた、など…
少しずつ進行するのがフレイルの特徴で、注意しなければならないところです。
これが進行すると、要介護状態になる可能性が高くなります。

フレイルの定義は「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表す“frailty”の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語で、要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味します。

語源の「frailty」は「虚弱」「脆弱」「衰弱」などと訳されますが、フレイルは、

「社会的」(独居、貧困、閉じこもりなど社会的に孤立)

「精神的」(認知機能の低下、抑うつ状態など)

「身体的」(基礎疾患、筋力低下、口腔機能低下など)

これらが複雑に絡んでいるので、先程の日本語訳では全容を表しているとは言えません。

例えば、お口の管理をあまりしていなくて奥歯を失って噛みにくくなった
(これは身体的なフレイルで、厳密にはお口のフレイルです。お口のフレイルについては後日アップ予定です)

食事を上手く摂れないので栄養状態が悪くなって痩せてきた(身体的)

筋肉量が減って、歩く速度が落ちた(身体的)

外にあまり出歩かなくなった(社会的)

気持ちが沈みがちになった(精神的)

基礎代謝も落ちてエネルギー消費量も減っているので余計に食事が億劫になった

これは一つの例ですが、このようなフレイルの悪循環に陥らないために普段から予防を意識する必要があります。

またフレイルが始まるきっかけは人により違います。
胃が悪くて食事があまり取れないので栄養不足になった…
ケガ(転倒など)をしたことで閉じこもりがちになった…
仕事をリタイアしたことで社会とのつながりが極端に減った…
フレイルで大切なのは、しかるべき介入をすることで「もとの状態に戻れる!」ということ。単なる老化とは違います。

フレイルの診断基準には色々あるのですが、以下にFriedの基準を挙げます。
①体重が減った
意図せず年間4.5kg以上、もしくは5%以上
②疲れやすい
何をするのも面倒と感じる日が週の半分程度ある
③握力が落ちた
握力が落ちていると全身の筋肉量も落ちていると思われます。
④歩く速度が遅くなった。
⑤活動量が減った。

3項目以上当てはまるとフレイルの状態で、1か2項目当てはまるとプレフレイル(フレイルの前段階)です。
フレイル状態の高齢者の割合は地域在住高齢者の約10%前後と推計され、男性より女性に多く、さらに慢性疾患があって通院中であったり、施設に入所されている方のフレイルの割合は地域在住高齢者より多いと考えられています。

フレイルを予防するためのキーワードは
①栄養(食事、口腔の定期管理など)
②身体活動(運動、筋トレなど)
③社会活動(前向きな社会参加、友人との食事など)
これら三本柱です。

28CliniCでは、これらの三本柱を支える仕組みが揃っています。
興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

①栄養に関して
○質の高い歯科治療
奥歯でちゃんと噛めるお口になり、治療後もメンテナンスを継続することで噛めるお口を維持できます。
○オーソモレキュラー栄養医学
自分が普段摂っている食事を見直し、元々備わっている自然治癒力を高めます。
○点滴療法
ビタミンやミネラルをはじめとする栄養素などを点滴で血中に直接投与するので即効性があります。

②身体活動に関して
○メディカルフィットネス
資格を持ったスタッフが、小児から高齢者まで一人一人に合った運動メニューを提案し実施することができます。
○スマトレ
MFT(myofunctional therapy)といわれ、舌やお口周りの筋肉を正しく使えるようになることで咀嚼や嚥下機能を正常に導きます。28CliniCではお顔の筋肉がしっかり動くことで素敵な笑顔になることから「スマイルトレーニング」→「スマトレ」と呼んでいます。

③社会参加に関して
○28カフェ
低糖質で高タンパクな食事や白砂糖不使用のスイーツなどを提供しています。ご友人やご家族とゆったりと楽しい時間を過ごせます。
○28クリニックセミナー
一般の方が知識を得て、予防への正しい理解を深めてもらえるよう様々な内容をお届けしています。

次回のフレイルの関するブログは本日のブログでも少しだけ触れた、お口のフレイル「オーラルフレイル」についてお話しします。

ではまた!

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