連載【28CliniCの標準治療】 第2回:歯科医院の選び方

皆さんこんにちは。
いつも28CliniCブログをお読みいただき、ありがとうございます。
青山院・副院長 および 熊谷院・診療主任 の柳 あさこと申します。

前回は、昨今の歯科に関する統計を基にお話をさせていただきました。

第1回はこちら

皆さんの中で「いい歯医者」の基準は何でしょうか。
いつでも予約が取れてすぐ診てくれる歯医者さん、腕の良い歯医者さん…色々な意見が出てくると思います。

どんな意見も間違えではないと思うのですが、当院の考える「いい歯医者さん」をご紹介します。 

当院の考える「良い歯医者さん」
・「病気の原因」を調べてくれる歯医者さん
・ 十分に時間を確保し「あなたにとって一番良い」治療を一緒に考えてくれる歯医者さん
・「病気の解決」に加え「今後病気にならないための予防」を同時に行える歯医者さん



病気には必ず原因がある

なぜ、虫歯になったのか。
なぜ、歯周病になったのか。
なぜ、噛めないのか。

治療を受ける前に、お口の中のトラブルがどうして起こったのか、ちゃんと分析してから治療に入る事が大事だと思っています。

原因を特定せずに行う治療は時に「対症療法」止まりになってしまうことがあります。
つまり、再発する可能性があるのです。

痛みがあれば、除痛のための「応急処置」はもちろん必要です。
大事なのはその後。いかに全体を見渡し、ゴールに向けて正しいマップを描けるかが勝負です。

あなたの「時間」は有限です

病院に通院してもらう=患者さんの貴重な時間を頂いている
私たちは強く意識しています。
通院のために有給を使ってきてくださる方も沢山います。

もし数年前に治療した歯が、また虫歯になってしまったら…
また「型取り」「装着」「調整」の時間が必要になります。
あなたはその時間、歯について悩む必要がなかったら…
もっと有意義な事に時間を使うことができるのではないでしょうか。

当院は治療計画の立案に際し、しっかりとした「検査」をご案内しています。
原因の追求に加え、患者さんのこれからの人生を見据えたリスク管理を徹底しています。

治療は必ず拡大鏡や顕微鏡下で行います。裸眼で治療することはありません。
衛生士のクリーニングも同様です。
治療の質を上げることにスタッフ全員が神経を集中させています。
全ては早期発見 (見落としの防止)、そして再発の防止のため。

3回の治療で神経がなくなる

ところで、1つの歯って何回治療ができると思いますか。
諸説ありますが、同じ歯が何度も虫歯になった場合、3回目の治療で抜髄になることが多いと言われています。

  1回目:プラスチックの小さな詰め物

  2回目:詰め物の下が虫歯→型取りして詰め物

  3回目:詰め物の下に大きな虫歯、神経に到達

といった流れです。

そのまま再治療の回数が増えると、こちらも諸説ありますがおおよそ5,6回目の治療で抜歯を迎えることが多いとされています。

だからこそ、一連の治療は1発勝負であることが求められています。
虫歯になって削った歯は、戻ってきません。

「とりあえず今はなんでもいいです、後々しっかりした物にしたいんですけど」と言った相談をいただく事があります。基本的にそのような治療はお受けしておりません。
理由は上述の通りです。

「予防するクリニック」と名乗るために

当院のHPを見ていただいたことのある方はご存知かもしれませんが、「予防するクリニック」と記載させていただいております。

お口の中の病気を治すだけではなく、これから起こり得る病気も未然に防げたら…これから先も常に気持ちの良いお口の中で患者の皆さんのQOL(生活の質)は向上するはずです。

当院では痛みに対する応急処置を除いて、治療をすぐに開始することはありません。
まずは「自分のお口」を理解してもらうことからスタートします。
試験を受ける前に、傾向と対策講座を受けるのと同じようなものです。

当院では治療前に各種検査をご案内しています。
まず基本となるのは「予防プログラム」です。
これは、健康な歯周組織を作り、維持するために大事な検査となります。
現状の細かな記録、唾液検査等で1時間ほどお時間をいただきます。
また、数日分の食事記録もご記入いただいてます。

それにより細かな分析を行って、現状把握が済んだ上で徹底的な歯周治療・クリーニングに入ります。
その一手間こそ、これから始まる治療の成功率を高め、良い予後を迎えるための準備なのです。

「細菌」をいかに減らすか

歯科治療は、細菌との戦いです。
虫歯や歯周病の原因には、必ず細菌が含まれています。
口腔内の細菌の数をなるべく減らした状態で治療を開始することを重要視しています。

歯の周り、特に歯茎寄りのところに「白いモヤモヤ」したものが張りついていませんか?
少しネバネバしていて、爪楊枝や細いもので擦ると容易に取れます。
それは食べかすではありません。
お口の中の細菌が凝集したもので、「プラーク」と呼ばれるものです。
プラーク、滲出液などが時間をかけて石灰化すると「歯石」になります。
歯石はザラザラしているので、歯石があるとさらにプラークが付着しやすくなります。

口腔内の細菌数が多い状態で治療をすると、感染のリスクが高まります。
それは将来の再治療や、抜歯等外科処置で術後感染を惹起する可能性が高まることを意味します。

クリーニング(歯周治療とも言います)は資格を持った衛生士または歯科医師が手作業で行います。
歯茎の上・歯茎の下の歯石やプラークを部位ごとに分けて除去していきます。
その際、一人ひとりのお口に合わせて、適切な「磨き方」「清掃器具」「歯磨剤」などをご案内します。

全部の歯の掃除が完了し、かつ歯磨きが上手にできるようになって初めて、治療のご案内となります。
ごく稀に、プラークも歯石もほぼない状態で初診来院される方がいらっしゃいます。その場合は早めに治療を開始しています。

口腔内の細菌は両親や祖母、祖父から感染する場合が多いので、ご家族のお口の中の細菌数がそもそも少ないか、ご家族が子供に感染しないよう配慮された結果だと思います。素晴らしいことです。

治療中も治療後も、大事なのはプラークを「溜めない」ことです。
溜めてしまうと石灰化し、歯茎の炎症が再発してしまう事があります。
それを防ぐために、歯科治療が終了した後も「メインテナンス」をご案内しています。

予防プログラムの詳しいご紹介は あなたのむし歯は予防できる!?予防プログラムのご紹介
当院の初診~受診の流れに関しては歯科治療の流れと予防を是非ご覧ください。

皆さんは治療が終わったら何年くらいトラブル無しで過ごされたいと思うでしょうか。
答えは簡単です。トラブルは無いほうがいいに決まってます。

まずはしっかり相談できる歯医者さんを探してみてください。

当院ではDr全員と担当衛生士、トリートメントコーディネーター(TC)で会議して、皆さんの大事な治療計画を練り上げています。

忘れてはいけないのは、あなたの予防を担当する歯科衛生士の存在です。
あなたのお口の変化をずっと見守ってくれる、パートナーなのです。

リスクを徹底的に排除するプランの治療を受けられた場合、その後担当歯科医師と関わる回数は極端に減ると思います。歯科医師との理想的な関係は、「治療」を終えたら二度と「治療」で関わらないことだと思ってます。
もちろん、メインテナンスの時には挨拶して検診させていただくのですが…それくらいが、いいと思いません?


次回は、皆さん気になる噛み合わせと、治療に関わる検査をご案内します。

お読みいただきありがとうございました。

第3回:しっかり「噛める」ってどういうこと?へ続く

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