歯周病はどこから感染するの?

28CliniC、歯科衛生士の武井です。
今日は虫歯や歯周病はどこから感染するのか、お話します。

お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんは口の中も腸内も常在菌は存在しません。
赤ちゃんは分娩時お母さんの善玉腸内細菌が口腔内に定着します。そして、むし歯の菌はお母さんから、1歳頃に定着します。

では、歯周病菌はいつ頃口の中に定着してくるのでしょうか。

歯周病とは大人しかならない…と思われているのではないでしょうか?
実はそうではなく子供の時から、菌が侵入し増殖してだんだんと症状に繋がっていき、道すじが出来上がってくるのです。

病原性の強い歯周病菌の定着は「10代」でほぼ決まってしまう事がわかってきています。そして、一旦できた細菌叢(細菌の集団)を完全に除去する事は不可能と言われています。
つまり、将来的な歯周病のなりやすさは子供の頃にある程度決まってしまうという事です。

以前、むし歯や歯周病は原因菌さえ取り除けば治せると考えられ、その原因菌の特定や、その菌を取り除く方法が考えられてきました

ですが、現在むし歯や歯周病の原因菌はほぼ特定されていますが、この菌を完全に取り除く方法が無いこともわかってきました。

むし歯の菌も歯周病菌もお口の中に常に存在している常在菌だからです。常在菌は取り除いても時間が経てばお口の中に定着します。原因菌が完全に除去できない以上、残念ながらむし歯も歯周病も「治らない」という事になります。

では、私たちはこの病気にどう立ち向かえば良いのでしょうか。

その答えは…細菌と仲良くしていくことです。
善玉菌と悪玉菌のバランスをとる事が大切なのです。

口腔細菌のバランスが崩れる事をマイクロバイアル・シフトと言います。

口の中の細菌は、腸内細菌と同様に善玉菌2割(よい菌)、日和見菌7割(どっちつかずの平和な菌)、悪玉菌1割(悪い菌)が存在しています。
普段はその均衡が保たれていているのですが、口の中の衛生環境が変わるとある時を境に善玉菌が減って、日和見菌の一部が悪玉菌へと変わって、悪玉菌の量が増えると、バイオフィルム(プラーク)の変化(マイクロバイアルシフト)が起こり、病原性を有する悪玉菌が増えます。
7割いる日和見菌が、善玉菌と悪玉菌のどっちに味方をするかによって、むし歯や歯周病になりやすい環境が出来上がるのです。

そして、最強の歯周病菌(PG菌)は18歳以降に感染すると言われています。
また、パートナーからの感染(キス)や、ペット(イヌ、ネコ)からの感染、食具についた唾液、食べ物についた唾液からも感染すると言われています。

子供の頃プラークコントロール(歯や歯茎に付着したプラークを抑制、除去すること。歯周病予防の最も基本的な行為)できていれば、このPG菌が定着しづらくなります。
ですが、口腔衛生不良の状態が続くことによりPG菌が住みやすい環境が整うと、マイクロバイアル・シフトし、PG菌はすぐに定着するのです。

むし歯も歯周病も常在菌による感染症です。
常在菌を追い出し0にすることは不可能でます。
ですから、バイオフィルムの管理が必要なのです。

1980年代、6月頃になるとむし歯治療勧告書を持った小学生で歯科医院はいっぱいになりました。

現在、H29年度都道府県別12歳児一人平均むし歯の本数は0.82本です。
むし歯が減ったのは学校での指導強化(学校でのフッ素洗口や歯磨き)予防歯科の増加、フッ化物(歯磨き剤や洗口剤、歯科医院での高濃度フッ素塗布)の利用普及、育児雑誌による親の意識向上があります。

学校の取り組みに加え、育児雑誌などが子供との磨き残しを親が確認する「仕上げ磨き」を推奨したことも影響していると思います。

むし歯や歯周病は正しい歯磨きで予防することができますが、磨き残しが多少残る事もあります。
だからこそ年に3〜4回(3〜4ヶ月ごと)歯科で磨き残しを除去してもらう必要があるのです。

たくさんの種類の細菌が集まったバイオフィルムを除去できるのは機械的な除去のみです。

当院でも、治療後定期的なメインテナンスシステムを取り入れております。

そして、私達歯科衛生士も歯科医師もアシスタントも受付も3ヶ月に一度クリーニングを受けています。

良い食事習慣、むし歯を作らないキシリトールの使用、フッ素入り洗口剤や歯磨き剤の使用など、一生
丈夫な永久歯で過ごすためには子供の頃からの予防が大切なのです

日頃のプラークコントロール(セルフケア)に加え定期的プロフェッショナルケア(メインテナンス)が必要となります。

大人の方のメインテナンスは勿論ですが、子供さんにも永久歯が生えてきたら定期的なブラッシングチェック、クリーニング、フッ素塗布を行うメインテナンスを受けて、私達28CliniCの歯科衛生士と共に、むし歯や歯周病から大切な歯を守りましょう。

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