連載【28CliniCの標準治療】第4回:オーダーメイドの「治療計画」

皆さんこんにちは。いつも28CliniCブログをお読みいただき、ありがとうございます。
青山院・副院長 および 熊谷院・診療主任 の柳あさこと申します。

前回は、「噛み合わせ」の概念、そして治療前の「口腔内全体検査」に関して紹介させていただきました。

第3回はこちら

検査から1~2週間しますと全ての資料が揃います。(技工所さんに模型を作っていただいてるため、お時間を頂いてます)いよいよ、治療計画の立案に移ります。

治療計画はこれから始まる航海の地図になります。
地図なしの船出だと遠回りをする可能性もあれば、現在地を失うこともあるでしょう。
そもそもゴールどこだっけ?ではお話になりません。
すぐにお決めになる方もいれば、時間をかけて、ご家族と相談しながらゆっくり決める方もいらっしゃいます。
私たちはこの過程を省くことも、急かすこともありません(急性症状のある場合を除きます)。

決めるにあたって、その主役は皆さんです。

目次
1,どんなお口になりたいですか?
2,もう一度確認します「噛み合わせの話」
3,治療開始前に必ず確認すること
4,旅の始まりです

1,どんなお口になりたいですか?

日本人の半数以上は「自分のお口の中は健康的ではない」「自分のお口の状態では生活に支障がある」と感じています。(第1回ブログをご参照ください。)
健康的でなく、生活に支障のあるお口を好む人はいません。
治療方針を決める上で大事なのは「理想のお口」を具体的にすることです。

それを具体的にしていくために、カウンセリングは欠かせません。トリートメントコーディネーター(TC)の大事な役割のうちの1つです。

「理想のお口なんて、みんな一緒なんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は一人一人の考える「理想のお口」は異なります。皆さん漠然と「健康的なお口でいたい」といった気持ちをお持ちですが、どのような状態を「健康」と考えるかは人それぞれです。

「人生でこんなに口のことを考えたのは初めてだよ。」
カウンセリング中の患者さんから良く頂く声です。

お口は、最期まで取り替えることなく使い続けるものです。
おじいちゃん、おばあちゃんになっても同じ お口です。

私たちは、この治療計画立案が「人生で最初で最後の一貫した治療計画」になることを望んでいます。

当院は今まで歯医者さんで苦労された方にも多く来院していただいています。
何度も同じところの被せ物が外れる、数年前に治療した歯がまた虫歯になる、いつまで続くかわからない根の治療、根の治療が終わったのに強い痛みや腫れがある、等等…

もちろん、修復物は人工物です。数十年使えば壊れるリスクはあります。
しかしメインテナンスにて都度チェックを行い、何か問題があった時少しの「リペア」で済む状態にできれば、お口で悩むことは減るか、無くなるだろうと当院は考えています。

皆さん、お口に関して今までどれくらい真剣に考えたことがありますか?
人生で一度くらい、そんな時があってもいいと思うのです。

よくよく考えていただき、相談してもらうことを大切にしてます。そして最終的に、患者さんの思い描くゴールと、当院が提供させて頂くゴールの方向性を統一していきます。
もちろん魔法使いではありませんから、できることできないことは正直にお答えしています。

「とにかく一番いい治療をおまかせで」
そういう声もいただきます。それも、大丈夫です。
でも一つお願いがあります。どうかご自身のお口に関心を持ってください。

2,もう一度確認します「噛み合わせの話」

口腔内全体検査の後、模型が完成したら治療計画を検討するカンファレンスを行います。全Drと担当歯科衛生士、トリートメントコーディネーター(TC)が参加して、最善のプランを模索します。事前にTCが皆さんの要望を細かくお伺いしています。「どんなお口になりたいか」を念頭に、全体の治療プランを数案ご用意させていただいてます。

そして治療カウンセリングが始まります。

口腔内全体検査において、現在の上下の歯が合わさる噛み合わせの位置と、顎の位置にズレがあった場合、治療計画を決めるにあたって、大きな分岐路があります。

 ・噛み合わせの治療を行う
 ・今の噛み合わせを良しとして、噛み合わせを維持したまま治療を行う

もちろん顎の関節に何らかの症状があったり、歯並びに問題がある場合は、積極的に噛み合わせの治療を考えていただきたいと思っております。また、現在自覚症状がなくても、年齢を重ねるにつれ、この力のバランスのままお口を使い続けた場合にトラブルが起こり得る可能性がある場合には、必ずその内容をお伝えをしています。

しかし、今症状は強く出ておらず、日常生活で大きな支障が出ていない場合、今回の治療計画に「噛み合わせの治療」を組み込むか非常に迷うところだと思います。

その場合、噛み合わせの治療を行うことによるメリット・デメリットを詳しくお伝えし、天秤にかけて考えて頂いています。

前回のブログでも紹介させていただいた通り、噛み合わせの治療は
 a「歯列矯正治療」で治す方法
 b「被せ物や詰め物」で治す方法
などがあります。

a,歯列矯正治療で治す場合

お口の状態にもよりますが、歯列矯正のための期間を1~2年追加することになります。被せ物や詰め物の交換は、基本的に歯列矯正が終了し、正しい噛み合わせが完成した後に処置を開始します。

b,被せ物や詰め物で治す場合

こちらは基本的に、現状でお口の中に被せ物がたくさん入っている方にご案内しています。その他、治療期間の問題や、審美的な理由から被せ物を複数使用したいと考えている方も可能です。

非常に悩むところだと思います。
この治療が「最期の大きな治療」になって欲しいと私たちは望んでいるため、数年後に改めて噛み合わせの治療考えようかな?といったお気持ちがあるようでしたら、転居などの理由を除いて今回の治療にて行うことをお勧めしています。
正しく並んだ噛み合わせでその後の被せ物等の治療を行う方が、より理想的な状態に復元することができると考えているからです。

被せ物や詰め物はオールセラミックをご案内しています。
オールセラミックの利点はいくつかありますが、一番お伝えしたいのは「汚れが落ちやすい」ことです。ご飯茶碗を想像してみてください。傷も入らず、湿潤した状態であればツルッと汚れが落ちるイメージを皆さんお持ちと思います。お口の中は湿潤状態です。セラミック上の歯垢の清掃は容易になります。二次虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
もちろん審美的にも天然歯と見分けがつかない程美しいです。
また、被せ物を行う歯に関しては、検査の時に撮影したCTにて大きな病巣が見つかることもあります。必要に応じて根の治療をご案内しています。後にトラブルが起きて再治療とならないよう、細心の注意を払っております。

3,治療開始前に必ず確認すること

治療プランが決まったら早速治療に入りますが、治療前に必ず確認することがあります。
それは「口腔内の細菌数が減少しているか」「歯茎の状態が健康であるか」です。
歯茎の検査、歯石の除去、歯磨きの練習を通して、歯茎の健康を作るためのご案内をしています。大事なことは、歯の表面の細菌(歯垢)がいかに減少しているかです。

歯垢が口腔内に多いまま治療を行うと、治療の質の低下、手術後の治癒遅延に繋がります。

例えば、私たちが月に2回クリーニングをさせていただいた場合、残り29日は皆さんのご自身の歯磨きによって歯茎の健康を保っています。
ご自宅での歯磨きでは、歯ブラシ以外にも歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシなど、皆さんのお口に合わせて様々な補助道具をご紹介しています。

歯磨きの状況によって、残念ながら治療開始が遅れる患者さんもいます。
どうか、治療開始前に頑張って歯磨きをマスターしてください。
当院のプロフェッショナルな歯科衛生士達は、口腔環境を治療開始前に整えるため日々努力を重ねています。歯科衛生士も必ず拡大鏡を使用し、より質の良いクリーニング、清掃指導に取り組んでおります。安心してお任せください。

4,旅の始まりです

ゴールに向かって、最短の経路でご案内いたします。
当院ではゆとりを持ったアポイントをご案内し、可能な限り一度に複数の歯をまとめて治療させていただいております。歯科医師は全員8倍以上の拡大鏡や顕微鏡を用いて治療を行います。裸眼で治療も行うことはありません。
根の治療ではラバーダムの着用など唾液が入らないよう必ず対策を行います。今一番エビデンスが確立している薬剤、手技にてご案内をしております。

「28CliniCで治療を受けてよかった」と思っていただけるよう、Dr、スタッフ一同今後も研鑽を続けまいります。

次回は、治療終了後の「メインテナンス」について書かせていただきます。

お読みいただきありがとうございました。

第5回:継続は力なり 歯科医院でのメインテナンス へ続く

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