連載【今できていることがなぜ当たり前にできなくなったのか】第5回:フレイル予防について

皆さん、こんにちは。
28CliniC副院長の多田です。

ここまでオーラルフレイルも含めて、フレイル全般についてお話ししました。
今回はフレイル予防についてお話ししますが、オーラルフレイル予防をメインに、お伝えします。


フレイル予防の三本柱は以下三つです。

①栄養
②身体活動
③社会活動

厚労省のフレイル予防事業の普及啓発ツールを参考に説明します。

❶栄養

Ⅰ.三食しっかり摂る

朝食、昼食、夕食をちゃんととること

Ⅱ.主食・主菜・副菜をちゃんと摂る

1日に2回以上主食・主菜。副菜を組み合わせて食べる

Ⅲ. 色々な食品を食べる

必要な栄養素をまんべんなく食べる。

特にタンパク質は体を作る重要な栄養素なので意識して摂る必要があります。
当院ではオーソモレキュラー栄養医学を取り入れていることからもう少し詳しくお伝えします。

確かにタンパク質は非常に大切な栄養素ですがまずは自分が食べたものを消化吸収できる体かどうかが重要です。
消化吸収がうまくできない体で、いくらタンパク質を摂取したとしても出てしまうだけです。
胃酸や胆汁の量が少なければ、ちゃんと消化されませんし、体内のタンパク質がもともと少なければ、それが材料である消化酵素も少ないため、消化酵素を別で摂る必要が出てきます。

また、タンパク質を代謝するにはビタミンB6が必要なので、ビタミンB群の摂取もとても大切です。

❷身体活動

習慣的な運動

激しくなくても、30分程度でも汗ばむくらいの運動を継続し、筋力を維持することが重要です。

ご自身の全身的な筋力低下を細かく測定することはなかなかできないので、簡易的な方法として「指輪っかテスト」があります。

・親指と人差し指で輪っかを作る
・利き足ではない足のふくらはぎの一番太い部分を輪っかで囲む
・囲んだ際に隙間ができると筋力低下の可能性があります。

皆さん、確認してみてください。

体内でエネルギーを産生するミトコンドリアという細胞内小器官がありますが、習慣的な運動によりミトコンドリアが増加するという研究もあります。

また、オーラルフレイル予防として、口腔周囲筋や舌を鍛えることも重要です。
筋機能療法で機能低下した口腔周囲筋の働きを向上・維持します。

当院ではスマイルトレーニング(スマトレ)という機能改善プログラムでをおこなっています。
高齢者では嚥下機能が低下するため、誤嚥性肺炎などの重篤な疾患の予防にもなります。
ご自宅でも簡単にできるトレーニングとして、硬くなった口腔周囲筋をマッサージしたり、音がしっかり聞こえるように、また奥まで水をまわしてブクブクうがいをしたり、口を開けて舌を上アゴにあげるなどのトレーニングがあります。

文字だけではなかなか分かりづらいので一度体験することをお勧めします。

❸社会活動

就労でも趣味のサークル参加でも、自分の「やりたい」「楽しい」と思う社会活動へ参加しましょう。

歯科の分野では噛めないことから、友人や家族との食事の時間が億劫になり、外出を控えてしまうなど、社会的フレイルにも大きく関係しています。

悪くなる前にしっかりとした治療、予防をしましょう。

人とのつながりはフレイル予防の大きなファクターです。


と、ここまでは成人向けのフレイル予防のお話です。

私は普段、子供の矯正を診ているので、その観点からオーラルフレイル予防について簡単に触れておきます。
人が舌の機能(安静にしているとき、食べたり、飲んだり、喋ったりするときの舌の使い方)を獲得する時期はいつでしょうか?

基本的には乳幼児期です。
5歳くらいまでには成人と同じ程度の機能を獲得します。
要は5歳までに得た機能がその子の運命を左右すると言っても過言ではありません。

上顎の歯の内側の部分を口蓋と言いますが、乳幼児期に基本的な舌の動きが得られないと口蓋の形(歯並びも)が三角型であったり、 V型になることがわかっています。

逆に舌の機能に問題がなければ口蓋の形はキレイな◯型になります。舌の機能が口蓋の形に影響する理由として安静にしているときの舌の位置が重要です。

ヒトが安静にしているときは、舌全体が口蓋にベタっと軽く張り付いて、歯並びの内側にすっぽりおさまっているのが正常です。
かつ、舌の先は前歯に触れない、唇は軽く閉じていて、無意識でも緊張がなく、上下の歯は触れない、安静時に舌全体が口蓋にくっついていない(低位舌)状態では、上顎の骨(口蓋)に十分な圧がかからず頬や唇の圧力により狭められるので三角型やV型になります。

お口周りの機能は子供の頃に獲得し、成熟していき、高齢になるにつれて少しずつ衰えていきます。
最初の段階で舌の機能が低いと、高齢になった時にはもっと低くなっていると考えられます。
舌は咀嚼・嚥下・発音などに深く関わるので、咀嚼嚥下障害や誤嚥性肺炎などのリスクが高まると考えられます。

また、歯を失うなどお口の中の形が変わることでも舌の機能に異常が出やすいので歯を失ったまま放置することも非常に危険なことです。

全ての方に当てはまるわけではないのですが一度、ご自身の口蓋の形を鏡で見てください。

どんな形をしていますか?

機能改善・維持のためにはMFT(筋機能訓練)が必要です。
当院でも笑顔が素敵になるトレーニングということからスマイルトレーニング(スマトレ)と名付けました。

体験もやっていますので、ぜひ一度受けてみてはいかがですか?
ご予約はこちらから。もしくは総合受付まで。TEL:048-521-1333 Mail:info@28clinic.jp

次回は、ついに最終回!
フレイルに対して28CliniCができることをお伝えします。

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